「QCサークル」誌より


−新たな価値を求めて−

QCサークルのノウハウを活用!近畿の自治体での業務改善活動


(有)エヌ・アール・シー 代表取締役 杠 隆史


 

 すでに本誌576号(2009年7月)で「自治体で活用が広がるQC的問題解決法」として紹介された大阪府東大阪市と奈良県生駒市では、その後も継続してQCのノウハウを活用し、業務改善と行政政策形成に役立てています。 さらに京都府亀岡市、福知山市、和歌山市や大阪府豊能町も同様の活動を実施して、仕事面での改善効果はもとより、職員のやる気や能力の向上という大きな成果を上げています。


近畿の自治体における改善活動の特徴
 階層別研修に品質管理や小集団活動のノウハウを取り入れていることで、採用3〜5年目の中堅職員が、それぞれ2日間程度の基礎研修を受講。 そして、「品質管理のものの見方・考え方」やQCストーリー、QC手法を学び、その後3ヶ月から半年間、個人またはチームで改善活動に取り組んで発表会で成果を披露しています。


東大阪市では
 研修受講後にカイゼンコース・個人コース・チームコースのいずれかを選択しますが、チームコースでは数人でチームを編成して、QCサークル活動と同じ取り組みを開始。 そして、市民サービス向上につながるテーマを設定し、活動しています。2011年度は、「5Fでの迷子をなくす!〜市民が迷わず窓口にたどり着けるように〜」、「全員知っとこう!事務連絡」などをテーマとして取り上げました。 改善活動をスムーズに進めるためには、メンバーのやる気はもちろんですが、事務局のかかわり方や上司・同僚の理解・協力が大切なポイントです。東大阪市では人材育成室が事務局を担当し、 側面からしっかりサポートすることで満10年目を迎えることができました。 また、多くの職員が市民サービスの向上、職員の能力向上、職場の活性化という改善活動の意義や目的を理解しながら活動に取り組んだ結果、よりよい組織文化が構築されつつあります。


一方、大阪府吹田市では
 2011年度から全庁あげての改善活動を導入。行財政改革推進室が事務局となって、若手中心の活動サポーターと連動して活動を推進しています。 今年1月には選抜された10チームが参加して第1回発表会を開催。休日にもかかわらず市長、副市長をはじめ多くの職員が発表会に参加し、有意義な相互啓発の場となりました。 テーマは、「広告付き番号案内表示機の導入」、「みんなで知ろう防災のこと」、「ホームページ・新しいサービスを活用した市のPR強化をめざして」などです。


業務の質の向上を目指して
 これらの自治体のほか、市をあげて改善活動に取り組んでいたものの、壁にあたったり不活発になった自治体もあります。 充実した改善活動を展開するためには、QCのノウハウが必要と気づき、大阪市をはじめ、いくつかの自治体では、改善活動にQCストーリーとQC手法を導入し活動の活性化をはかっています。 大阪市では「元気アップ運動」として、業務の質の向上、職場と職員の元気アップ、職員の成長を目的として職員人材開発センターが事務局となって活動を推進し、今後の展開が注目されています。


(財)日本科学技術連盟「QCサークル」 2012年4月号より

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